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大阪芸大ミュージカルコース卒業制作公演「HAIRSPRAY」を観たよ

【止められないこの鼓動!】


少し御縁があって、今年の大阪芸大ミュージカルコースの卒業公演を観劇することになりました。
「HAIRSPRAY」という演目自体は映画が公開された2007年に観たことがあるきりで、あとはコンサートで「You Can't Stop The Beat」を聴いたことがある程度。
言われて気が付いたけど、この公演が日本初演になるんですね。そんな公演を偶然とは言え観ることができて嬉しい!

メインキャストは半分ほどがWキャスト、残りはシングルキャストでした。シングルキャストたち、初日は声や動きが堅かった子も多かったけれど2日目はのびのびと演じていて「百回の稽古より一回の本番」を目の当たりにしました。
Wキャストの子たちもたった2時間20分の間にみるみるうちに良くなっていてびっくりした。すごい。
特に母親役の子たち!どの母親もひとりでもブレると物語が弱くなると思うのですが、歌声も芝居も説得力があって聴き入ってしまった。ブレンダ役の「I Know Where I've Been」の説得力は素晴らしかった!
黒人役の子たち、歌声もダンスもすごくソウルフルで、ブラックミュージックを彷彿とさせるリズム感を持っている子が多くて、誰が黒人コミュニティなのかはっきり分かったのはすごかったなぁ。
カウンシルメンバーたちもキュートにそれぞれを演じていて可愛かったな〜きちんと個性が出ていました、知らない子たちを遠目で見てきちんと見分けられたので笑。お衣装替わってもちゃんと分かった。
あとコロスが上手いカンパニー大好きなので「The Big Dollhouse」楽しかった!ほかのナンバーもきちんと歌詞が聴き取れました。これめっちゃ重要なんだよね、歌で伝えるミュージカルだから。コロスが下手だとただの不協和音なので……

今回は大学生の卒業公演ということで、いつもの商業演劇とは少し違う心構えでお座席に座ったけれど、それを忘れるくらい引き込まれたし純粋に楽しめました。
あと学生演劇ならではの熱さも久し振りに触れられて胸が熱くなった。がむしゃらに演劇に取り組めるのは今だけかもしれないからね……涙腺緩くなって困ります。
Wキャスト公演の魅力はキャストによって役の解釈が変わること。どの役もキャストによって違う魅力があり、ほぼ初見のこの演目を、たった2公演でいろんな方向から観られたのはとても嬉しいことでした。
Wキャストの子がする芝居はもちろん違うので、それに対するシングルキャストの子の芝居ももちろん違っていて、こういうところが演劇の面白いところだなと思います。脚本と演出は同じなのに違う芝居になる。だから好きなんですけど。
どれがいいとか悪いとか、そういうことでもなく、その日その板の上で生まれたものがその時の正解なのだとわたしは思います。

今回のキャストがどれだけ演劇の世界に進み、そして軌道に乗るのかは分からないけれど、違う道に進んだとしても本気で演劇に取り組んでいたことは必ず人生を豊かにしてくれます。この経験が活きるときが必ずきます。
学生たちの将来が素晴らしいものになるよう、老婆心ながら祈っています。卒業公演千秋楽、おめでとうございます!

2018.10.18/19.