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七海ひろき宝塚千秋楽、美弥るりか退団発表に寄せて

個人的な事情とチケット事情により、かいちゃんの退団公演を観劇できなかった。悔しい。
贔屓が宙組88期だったこともあり、かいちゃんのことは下級生のころからずっと観てきていた。みーちー大にくっついて回る弟みたいだったかいちゃん。抜きん出てお芝居が上手いわけでも抜きん出てお歌が上手いわけでもなかった。とても平均的。けれど憎めないキャラクターとかわいい笑顔、その華やかさで舞台では気が付いたらよくかいちゃんを見ていた。贔屓の退団でしばらく宝塚から離れていて、戻ったのは2012年の銀英伝。あんなに可愛かったかいちゃんが素敵な男役になっていて驚いたし嬉しかったけど、舞台を下りたかいちゃんはわたしの知っているかいちゃんと変わらなくて少しほっとした。ちーちゃんの退団を伝えられたときに荷物を放り出してじたばたして嫌がったという話はかいちゃんらしくてめちゃくちゃ笑ってしまった。
星組に組替えしてしばらく、気が付けば「ひろきのお兄様」なんて呼ばれていてこれもめちゃくちゃ笑ってしまった。でも星組にいるかいちゃんを見てたらそれも納得した。なんだか不思議な気分だった。

贔屓のいた宙組以外のことは当時まったく詳しくなく、他の組は「主演コンビと二番手三番手男役、二番手娘役まではなんとなく知っている、下級生は顔が好みの子は名前は知らないけど顔は覚えている」くらいだった。なのでみやるりのことは顔だけ知っている状態で、きちんと認識したのは2012年以降のことだった。あっあのかわいい顔の子だね、そうだそうだ美弥るりかさんだ〜って感じ。そのときにはカチャも月組に組替えしており、同期ふたりで競い合ってどんどん素敵な男役になっていくのが見ていてわくわくした。
みやるりのお芝居がとても好きで、1789のアルトワ伯の幻想的な美しさ、続く舞音の台詞がない演技を見て鳥肌が立ったのをよく覚えている。その後のグランドホテルでのクリンゲラインやエリザベートのフランツ、とても魅力的な人間だった。

かいちゃんもみやるりも、身体の線は細いけれども舞台の上ではそんなことは感じさせずに凄まじい存在感を放っていた。
きっとトップになる、時間はかかるかも知れないけれどきっと大きな羽根を背負って階段を降りてきてくれるんだろうとぼんやり思っていた。
もう何人そんな男役を見送ってきただろう。二番手三番手で退団していく男役を、何度泣きながら見送ってきただろう。
今回のことだけじゃあない。決断をしたのは最終的には本人、タイミングだってある。毎年おおよそ20人程度の男役が入団するけれど主演男役はたった5人で数年は替わらない狭き門。それでも、いい男役が辞めていくのは劇団の人事に他ならない。きっともっと活躍できる男役はいっぱいいた。生徒が悪いんじゃあなくて、人事が悪い。って宝塚ファンになった当初から思ってる。わたしよりもふたりのファンの方のほうがもっと思うのかもしれない。もっともっと上で輝いてほしかった。
タカラジェンヌというのは、当たり前だけれど在団中しかそう在れない。退団したらそれでおしまい。その短い期間だけ。その短い期間で全てのタカラジェンヌが納得のいくような人事ができるわけないのも分かっている。けれど、できるだけ多くのタカラジェンヌが、できるだけ多くのファンが悔し涙ではなく納得のいく笑顔と涙で宝塚歌劇団を卒業できればいいと思う。

かいちゃんもみやるりも、紆余曲折ありながら舞台の上で美しく輝く、素晴らしい男役だと思います。かいちゃんはあと東京公演、みやるりはお稽古と宝塚公演も東京公演も残っている。
東京公演の千秋楽まで、とにかく悔いのないよう過ごしてほしい。もちろんファンの皆さまも。最後までしっかりと見送ってあげられますように。