【奇跡の配信 違った魅力の3ペア】
まずは、配信できるようご尽力くださった皆さまに心の底から感謝します。
大阪公演だけ観劇の予定だったんですが、出演者の枠で取ったチケットもあったし、かなり前方のお席もあった。劇場で観られなかったのは本当に悔しいし悲しい。それでも、配信だけでも観られて嬉しかった。ありがとうございました。
さて、気を取り直して。
まず、新ペアの発表には驚きました。
2019年に衝撃を受けた成河×福士ペアは実力も実績も十分なふたりの組み合わせでしたが、若手を抜擢したのは面白かった。
もはやベテランのにろまり、歴代ペアの中でも異色な成福、未知数の松山。まったく違う三組であり、組み合わせのバランスも面白い。
成河さんがエリザベートに出演されていたとき、「死ぬことが出来たシシィと、死ぬことが出来ないルキーニのはなし」と評されていたのですが、これはそのままスリル・ミーでもあるなと今回思いました。
「永遠から抜け出せた彼と、永遠から抜け出せない私のはなし」。
「五度目の正直ということですか」は「毎晩毎晩同じ質問ばかり!」だなって。
私も同じことを繰り返し答弁していたけれど、最後に違うことをした(真実を話した)ことで永遠から抜け出せたのではないだろうか。そして、抜け出せた先にいた彼は果たして夢か現実か……というところがペアによって違うのがスリル・ミーの面白いところだと思います。
韓国映画の「パラサイト」がTV放送されていたときにこんなツイートがTLに流れて来たのですが
子どもを殺したところがちょうど真ん中の50分のあたりでぞっとしました。これに気付けたのは配信だからですね。#パラサイト のトリビアなんですけど、全編が2時間12分なのに対して、この地下室の扉が開く瞬間はドンピシャで1時間6分地点に来てるんです。脚本術の基礎に「作品のちょうど中間に転換点(ミッドポイント)を」というものがあるので、つまりパラサイトは恐ろしい程基本に忠実に作られてるってこと。 pic.twitter.com/wb4bh4JiAn
— うえはらけいた|漫画家 (@ueharakeita) 2021年1月8日
スリル・ミー、「自分は仮釈放審議を傍聴している聴衆である」という気分になれるところが好きで(実際にはそんなもの傍聴できるものではないんですけど)、そういう意味では画面で見るの面白いかもなぁと思いました。
同じ理由で大阪公演がブリーゼなの、演目と劇場が合っているなぁと思うんですよね。座席配置が婉曲しないで一直線なところ、舞台に対して客席の幅が大きすぎないところ、バルコニー席があるところ。だからチケットを取りづらくても大阪公演はブリーゼのままがいいな……。
さらに同じ理由で2階から観るのも大好きです。距離があること、見下ろすことで聴衆の気分が強くなるから。
各ペアの感想をつらつらと。
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