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PARCOプロデュース「首切り王子と愚かな女」を観たよ

【圧巻の井上芳雄!演出に応える芝居と歌声】

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実はわだくまFC会員なんですけど、久し振りに大阪来るなら観たいな!芳雄主演だし蓬莱さんの脚本演出観たことないから嬉しいー!と軽い気持ちでチケットを取りました。

あのときの自分の判断は正しかったと褒めたい……!
いい演劇を観ました、面白かった!!
とにかくみんな芝居が上手い!
(わたしの観るものが偏っているので、なんというかこう……上手い人とそうでない人が一緒にいる公演を観ることが多いので……)
芳雄をストレートプレイで観るのは初めてだったのですが、ダディの芝居が年を追うごとに良くなっていっているし、そもそも繰り返しつか芝居にも起用されるんならいいんだろうな、と思ったのですが素晴らしかったですね……!
「王子役の集大成」なんてインタビューで言っていましたが、確かにひとつの到達点のように見えました。
忌み子として育ってきた第二王子、呪いと寂しさに塗れた芝居が素晴らしかった!周囲を恐れて繊細で、助けてあげたいと思える王子でした。
そして芳雄の歌い手としての圧倒的な才能に震えてしまった。タイトルバックでのほんのワンフレーズ、中盤でのほんの数秒のスキャット、そして終盤での歌い上げた一曲。
ストレートプレイで芳雄の歌唱力を演出に使う脚本の上手さ、それに応える芳雄の歌声。素晴らしかった……!

そして飛ぶ鳥を落とす勢いと言っても過言ではない伊藤沙莉ちゃん。彼女の"普通"のお芝居が好きで、観たいドラマに彼女がいると嬉しかったりした。
まずとにかく恐ろしいほど滑舌がよくて、恐ろしいほどの台詞量を恐ろしいほどの速さで喋るのだけど、すべてはっきり聞こえてきてびっくりした。
一幕の終盤だったか、芳雄と沙莉ちゃんがそれぞれのモノローグを同時に言うところがあって、それなのにふたりともの台詞が聴き取れるのほんまにすごい 絶妙な間もそうだけど、ふたりの発声と滑舌がないとああはいかない。圧巻でした。
そして死のうとする冒頭から、生き抜くと決めたラストまでの感情の流れが流石。
母に姉に縛り付けられた人生を終えて、自分の野望のために思うがままに過ごして、そして束の間の笑顔が可愛かったな。

お目当てのわだくま、初めて通しでお芝居を観たのはダイヤのAだったんですけど、シリーズごとに芝居は上手くなるし、刀ステでお芝居も殺陣もどんどん良くなっていて、今回PARCOプロデュースに出るのがとても楽しみだった。
爽やかな好青年、流されて王女と不倫をしてしまう好青年、とてもよかった。伊藤沙莉ちゃん演じるヴィリが飛び降りようとしたのを止めるのもわだくま演じるロキ。いい子だね……。
そして先輩のツトムから想いを寄せられてもいて、まさかのロマンス担当だった。ツトムからの想いには気付かない鈍感なのも可愛かったね笑。
しかし、ツトムがロキへの想いをモノローグで言うシーンや抱き締めたシーンで客席から笑いが起こるのはかなりげんなりしてしまった。わたしはずびずびに泣いていたので、まじ……?ってなった。
同性同士でも異性同士でも真摯な想いを笑わない客席になってほしいなと思う。

セットはジャングルジムのように組み立てた木の枠組み(立てるように板は張ってあるが)、仮楽屋として置いてあるアクリル板で区切られた小部屋だけ。
シンプルな大道具を組み合わせて色々なものを表現する演出好きすぎる、こういうのを観るたびに演劇とは無限だなぁと涙が出ます。
物語に於ける「母親の言葉」って「呪い」になると思っているのですが、ほんとの呪いになっていてぞっとしました。
ところで「呪い」って「のろい」とも「まじない」とも読めるの、この公演にぴったりすぎて溜め息が出ますね……。
いいお芝居を観ました!観て良かった!!

2021.07.11. 13時