世界が終わる日が休日ならいいな

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ミュージカル「スリル・ミー」尾上×廣瀬ペアを観たよ

【すべて私のゲーム そこにいるのは記憶の中の彼】


おかきが観られなかったので9年越しの念願の松也私!!
当時のイベントやインタビュー、写真や音源の印象から松也私ってくまさんみたいだな~と思っていたのですが、おひろ私は……ちいかわだった……?ってくらいに挙動が可愛い。ワ!って両手で顔を覆うのめちゃくちゃ可愛いんですけど!?
そして廣瀬彼に褒められるたびニコッ!ってするのも可愛い。「お前のような天才」「お前はなんて天才なんだ!」「(褒めてくれる?)あぁ」「君を認めよう」ここに反応してずーっとにこにこしている。情感が凄く湿度が高くて、ほんとに歌舞伎の演目や演歌の世界だった。
所作がさすが美しくて、女形のようなしなやかさがあるなと感じた。あと立ち姿に得も言われぬ美しさがあって素晴らしかった……。
ずっと幸せそうというよりは楽しそうだったかな。最初のバードウォッチングからずっとわくわくしていた印象。今日は彼とどこに行こう何をしようって考えてそう。
なんだかずっと頭が回ってそうだった。彼と話している間はもとより、ちょっとした会話の隙間に色んなルートを計算していそうで、二次元パズルやルービックキューブ、将棋やチェスが得意そうだな……って印象だった。

廣瀬彼は物理的にでかいし圧がある。でもその割に暴力的な印象はあまり受けないのが不思議で面白い。けどなんだかずっと虚無感があった。中心がぽっかり空洞になっている感じ。「なんのスリルも感じないんだ!」にこちらの実感が伴った。そして松也私と同じく湿度が高い、というよりももはや濡れている感じ。爬虫類みたいなじっとり感がある。
しかし圧が強いし、恐らく今公演一番の衝撃「ハンマーで頭を割る!」が怖すぎて……有り難く前方で観劇できたのですが、ということは近距離で観ることになりまして、ここでこんな怖いのくると思って構えてもいないし、いやほんとに怖くてちょっと泣いた……。
だって前回観た廣瀬くん、代官山で女の子を 500人抱いてたんだよ!?(実際には抱いていませんが東京ラブストーリーです)その前だってシンデレラの王子様だし(イントゥ・ザ・ウッズ)なんで……こんな、えっ……!
面白かったのが、父親や弟のことは嫌いだしむかつくけど、あんまりコンプレックスを抱いているようには見えなかったんですよね。その代わり松也私に対するコンプレックスがすごい。私の方が優秀だと認めたくなくて、言うこと聞かせたいんだろうなぁって印象。
で、ふと思ったのですが廣瀬彼って徹底的に「私から見た彼」なのかもしれない。松也私も自分が見ている彼のことばかり記憶しているから家族へのコンプレックスが希薄。空洞なのも松也私が都合のいいところしか見ていなかったからなのかも。
だからこそ Afraidの惨めさには痺れました。あのプライドの高そうな男がコンプレックスを向けている自分にしか弱音を吐けないのが嬉しかったんだろうな。最後の「死にたくな――……」っていう獣のような慟哭が本当に哀れだった。
あっあと取調室に連れてこられた歴代彼、みんな背中を突き飛ばされてたけど、廣瀬彼は普通に入室……にしそうなところで明確に右肩を突き飛ばされてた。これは廣瀬くんのマイムがうめぇ……という感動です。

松也私なら回避ルートも進めたのかな、と思ったけど、たぶんしなかったな。松也私は最後までずっと徹底的に「彼を自分のものにすること」だけが最終目的で、選択肢のひとつとしてこの結末が見えた瞬間にここに至るよう舵を切ってそう。「勝ったのは僕だ」が今までで一番実感を持って迫ってきた。松也私、将棋やチェスが上手そうって感じたのはこういうところだと思う。すべては松也私のゲームだったんだな。
ふたりともふとした瞬間に真顔になることが多くて、それがなんだか能面みたいだなって感じました。見た人によって印象が変わるよなって。特に松也私はAfraidやLife Plus 99 Yearsの「99年 永遠に」が「表情が印象に残らない」という印象だったのが面白かったな。スリル・ミーは元から人によって違う感想が出やすい演目だけど、特に違いそう。
わたしはどちらも「どんな表情してたっけ?ちょっと微笑んでたような……?」って記憶になっています。
ずっと空っぽだった廣瀬彼の容れ物を、永遠に手に入れてしまったんだなぁ松也私……。

おひろを観たっておかきを観られなかった隙間を埋められるわけではないのですが笑、それでも観たかった松也私、そして怖ろしくもカリスマな廣瀬彼を観られて本当によかったです。面白かった!!


2023.10.08. 15時30分
2023.10.09. 12時