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ミュージカル「スリル・ミー」2023年公演を観たよ

【捉えどころがない2023年】


現地観劇は2019年1月以来でした。
というのもわたしは大阪在住なので、2021年は取っていたチケットがすべて消えてしまい、そのときにはもう名古屋のチケットは売り止めがかかり、譲渡チケットも問い合わせ激戦……という状況で、かなり悔しい思いをしました。いつもなら意地でもぎ取るんですけど、オールキャンセルのショックと「今遠出していいのか?」という逡巡でそんな気力が無くなっており……。
配信は有り難く3ペアとも観たものの、やはりこの演目はあの息苦しさの中、劇場で観ることがいちばんだと痛感した出来事でもありました。
ということで、今年の再演が発表されてまだまだ予断を許さない世情の中、大阪オールキャンセルが相当なトラウマになっておりまして(笑)各地方へ遠征することを決めたのでした。リスクの分散。あと前回劇場で観られなかった松岡×山崎ペアがまさかの大阪一回公演ということで遠征を余儀なくされたところもある……。
尾上×廣瀬ペア、木村×前田ペアは高崎も予定していましたが、都合が変わり大阪のみになってしまったのが少し悔しい。けれど観劇自体は悔いなく終えられたなと思います。大満足でした。

演出について。
この初演から基本的に変わらない演出が、最高に研ぎ澄まされていて「やっぱり好き〜!!」と観るたびに噛み締めてしまう。
そろそろ演出変えたりしない?って思うときも正直あるけれど、観劇しては「やっぱり最高ッ……」てなるので結局大好きなんですよねぇ……。
変更点は私の登場がブリーゼでは袖からになったのと、Superiorの「世の中騒ぎ出す」で客席降りが追加されたこと、ラストの公園で彼が登場する背景が白になっていることくらいかな?
友達が「セットはリアリティラインになっているのでは?」って言っていたのが面白かった。縦軸が下に行けば行くほど現実、上に行けば行くほど幻想。
なるほど〜と思って観劇してみると、私は決して二階には行かないんですよね。
Keep Your Deal With Meも、地面=現実にいる私をセット上=現実味のないところにいる彼が引き上げようとして(キスシーンですね)断られてる、っていう画ができていてめちゃくちゃ面白いな……!ってなりました。

さて、2023年の3ペア。志半ばであった松山ペアの続投はやはり嬉しかった。若い年齢ならではのスリル・ミーが大好きなので。
2014年に遠征できず見逃した松也私が、新彼である廣瀬くんとともに再登板するのは驚いたし(柿澤の私、どっちもよそに男作ったなってちょっと笑いました)、達成と前田くんの組み合わせも意外だった(これは文句と懺悔ですが、堀会長がした「前田をスリル・ミーに出演させようかな?」という趣旨のツイートに心底キレており、発表されたときは「会長の秘蔵っ子きちゃったな、マジで嫌だな」と本人が悪くないところでげんなりしていた。実際観劇して前田くんごめんな……と思い直したので、キャスティング背景を想像させるツイートをした会長は本当に反省してほしいし SNSをやめてほしい)

あっ今さらなんですけど、わたしは史実の事件を肯定など一切しないし、モデルとなったふたりのことをかわいそうと思いませんが、スリル・ミーはあくまでフィクションなので私と彼のことを憐れんだりしています。

前置きが長くなりました。
一公演ずつ観たあとの「最高!!」という感情や「このペアのここが良かった」「この公演のここが良かった」というのはもちろんあります。けれど「2023年のスリル・ミー、どうだった?」となると「よくわからない」というのが正直なところです。
そもそも全体的に3ペアともあっさりとした造りだなと感じた。特に「超人」というワードにあまり引っ掛かりを覚えなかったことに自分でびっくりした。毎回「このペアは私も彼も超人だな」とか「この彼めちゃくちゃ凡人じゃん」とか、はたまた「この私は超人というよりか……」みたいなことをつらつら考える時間があるのですけど、今回はそれがなかった。強いて言うなら全員凡人だった。
全ペア感じなかったということはわたしの受け取り方の問題なのかもしれない。慣れかな……。
それからこれはビジュアル発表のときから一部で言われていたけれど、今年は性的要素を意図的に排除しているのでしょうかね?わたしはこのふたりが恋愛関係であることはとても重要な要素であると思っているし、わざわざ広報から排除する必要性も感じない(まぁ2014は前面に出しすぎて「それだけじゃないだろ!?」になっちゃってたけど……2018と、特に2021のバランスは見事だった)。
ピンポイントなことで言うと達成私個人は「性欲強いな~」と感じたし、前田彼もそれに応えるくらいには性欲あるんだろうなと感じたけど、ふたりの関係性を見たときにこのふたりは性的接触を重要視していないのでは?って思った。
山崎彼はノンセクシュアルっぽいと感じるくらい性的接触を避けているようにも感じたし、廣瀬彼もあまり性的接触好きではなさそう。こう書いてみると彼側の反応で判断しているのかな。
……と思ったけど、福士彼は不感症では?とは思ったけど性的接触はごりごりあると感じてたな。よくわからん。まぁだからこそ「性的要素は演出で意図的に排除しているのでは?」と感じているのですけど……。
今まで一組は「愛です!!!!!」を全力でお出しされていたからか、今回の芝居に結構戸惑っている。なんというか「初恋」止まりというか……「自分たち以外は壊れてもいいと思えるほどの強く情熱的で破滅的な愛」があるからこそ別ペアも引き立つ(そしてその逆も然り)と思っているので、「愛による破滅」を強く感じられなくて、全ペア観終わってからちょっと拍子抜けした(これはわたしが日本のスリル・ミーに感じることであって、他国はまたちょっと違うかもしれません)。
毎回複数ペアをキャスティングしてるのは興行的に公演回数をこなすのもそうだけど、そういう対比を見せるためだとも思うので、3ペアのバランスがあんまりよくないなぁという感想でした。
いや民也がいいならいいんだけど……。

そう、この「民也がいいならいいんだけど……」って、今年何回言ったかわからんくらいにたくさん言った。3ペアのバランスもそうなんだけど、各ペアともミクロとマクロで観たときの印象が違ったり、「今のこの台詞と役者の感情、剥離してない?」って感じることがあり、「でもまぁ民也がいいって言うんなら……(着席)」ってなっている。
この感想も思考を止めてしまうのでよくないなとは思いつつ、栗山先生への絶対的信頼があるのでちょっと様子を見るか……みたいなところがあります。
たぶんこの答えを得られるのは次回の再演のときだと思うので、それまではこねこねしておきます。

今年もまた新鮮なキャストがいたからか、SNSでちょっと異様なくらい盛り上がっているのに驚いています。昨今の考察ブームにマッチしたところもあるのかな。
しかしいつからこんなにチケット取りづらくなったんだ……こんなに大きな演目になってちょっと寂しい……なんて厄介バンギャムーブをかまして、今回の感想を〆ておきます。
スリルで遠征してお友達とたくさん会うの楽しかったな。また次回!やるよね再演!?

ホリプロくんアーカイブ付き配信ありがとうな!!全ペア収録の円盤も売って!!

2023.09.30.〜2023.10.22.

各ペア感想