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ミュージカル「スリル・ミー」松岡×山崎ペア(2023)を東京で観たよ

【深く深くどこまでも沈んでどこまでもひとつになっていくふたり】


本当は東京で観る予定はなかったのですが、いろんなご縁が重なり早めにmy初日を迎えられることに。初めてブリーゼ以外で日本のスリル・ミーを観た……!
チケットを取っていた2021年がオールキャンセルになったのでどうしても松岡×山崎ペアから始めたかったのですが、それが叶ってよかったです。
観てる間ずっと「今スリル・ミーを観てるな……」って上から見ている冷静な自分がいました。

最初っから私というか広大くんの話ですが、歌がめちゃ上手くなっててびっくりした!前回舞台で観たのはニュージーズだけど、それよりぐっと深い響きになって54歳に無理がなかった。
そしてそんな松岡私は54歳のほうを軸に作ったのかな?と感じました。54歳の私が19歳のガワを被って当時を振り返っているような印象でした。
再会のシーンなんかは目が潤むほど喜んでいて、それが「何十年振りに彼と再会した私」の印象を与えたのかも。
全体的に私→彼の依存度は表面的には低めに感じた。ただその分、ふとしたときに見せる執着というか「どうしたらこちらを振り向いてくれるか」が見えるたびに「あっいや依存度低いなんてないですよねすみません」という気持ちになった笑。
彼が憧れの存在で、でも彼と対等な会話ができるのも自分だけだという自負があって……もしかしたら彼のことを過大評価しすぎていたのかも。
彼は自分の元に帰ってきてくれると分かっているけど、魅力的な彼はいついなくなってもおかしくないと頭のどこかで感じているような(これ書いてて思ったけど、桜に攫われると思ってるんかも知れん笑)
2021配信ではほっとしたような表情だった松岡私のラストが印象的で、それがLike a Rolling Stoneを強調していたけど、今回はお互いがお互いを受け入れたような、ちょっとさっぱりした表情だったのが印象的だったな。最後の「スリル・ミー」の一言でひとつになれたんだな……って泣いちゃった。

山崎彼は松岡私がそこにいるのが当たり前で安心しきってた。良くも悪くも空気みたいな存在なんだと思う。
松岡私になら弱みを見せられるんだろうなぁ。
「おい、起きてるか?」で返事があっても「死にたくない!」って叫んでいたんじゃないかな。
ちょっと思い込みが激しそうで(自己肯定感が低いのかもしれない)、私と話すときも最初は強がりで「大丈夫だ!」とか言っていても、途中からそれが本音、本気になっていったんだろうな……って感じた。自己催眠みたいな状態だったのかも。
例えば「裏切るつもりはなかった!」は思わず出た言葉だけど、発したことによってそれが真実になったんだと思う。
だからこそ留置所でのキスもたぶん本気だったし、松岡私の襟を掴む手が切なかった……。
彼のほうが縋るペア、好きなんだけど歴代彼だと柿彼くらいしか浮かばんのよね。だから観られて嬉しい。
99年で松岡私のことも全部受け入れたんだなと感じたし、ラストの公園では夢や幻想じゃなくて彼本人が迎えに来てくれたんだなって感じられる「レイ」だった。写真はたぶんふたりで笑い合ってる写真だよ……。
あと色んなことに絶望してそうだなぁと感じた。父親が振り向いてくれないことに対して、今までの彼は憤りの印象が強かったけど、山崎彼は悲しんでいるんだな……って感じたし自分が超人じゃないことにも絶望しているし、レイの腹の底を理解できないことにも絶望していそう。
「興味を失くされること」に対して恐怖心がありそう。どこか「見て見て!」なんよね。だから放火みたいな派手なことをやる。
私から離れたのは「きっとレイなら追いかけて来てくれる」っていう思考なのかも。それもあって「契約書」でちょっと安心したように感じました。その契約書はレイが自分から離れない証なので。
「契約上はイーブン」になってしまったから慌てて次のことを考えて、思わず計画が口をついて出たのかもなぁ。

観劇して、わたしはやっぱり「ふたりでひとつ」なペアが好き!!ということを再確認しました。
にろまりしかり松柿しかり、The Origin Of Loveなんですよ。愛の形はそれぞれあるけども。
あとやっぱり松山ペアは止め方がわからないんだろうなぁ……とは思いました。ふたりとも「このあとどうすればいいんだろう」っていう戸惑いがあった気がする。
私が準備をしたロープは細い、塩酸は少ない、っていうのも、私が「こうしたら(計画とは違うものを準備すれば)彼は止まってくれるかもしれない」だったし、眼鏡をわざと落としたのも「こうしたら脅迫状を出さないかもしれない」だったんじゃないかな。
ふたりだけで冷蔵庫に入るペアだった……(概念の話をしています)今期の松山ペア、ふたりとも切なくて苦しい恋をしている。お互いがお互いを愛してはいるのにそのベクトルがほんの少しズレていて、ほんの少しすれ違っている切なさ。
歌の重心が広大くんは低いところ、大輝くんは高いところにあるので一緒に歌ったときに凹凸が嵌まるようで気持ちいいし、後半に行くにつれユニゾンがひとつの音に聴こえてくるのに痺れた。わたしはこういうペアが好きなんや……(ex.にろまり 松柿)

あと「優しい炎」のあと別にセックスしてないんだろうなって初めて感じたよ。
松岡私も山崎彼も性的接触に重きを置いてなさそうで、なんなら「スリル・ミー!」のあとも「し……てなくはないか……」くらいの感じだった。そして山崎彼は他でもない松岡私に性欲の捌け口にされたことにショックを受けているようだった。
などと考えていたら突然理解したけど、山崎彼ってノンセクなんだわ。でも松岡私のことは唯一無二に思ってるから精神状態がいいときに求められたら応えられるけど、そうじゃないときは本当にダメなんだと思う。
松岡私も断られたら今は気分じゃないんだなって納得してたけど、あまりに長い期間それがあったからスリル・ミー!になったのかも。くっすれ違い……切ない……(でも無理矢理はあかん)

2021はふたりでしがみつきあって坂の下まで転げ落ちた感じだったけど、今期はしっかりと手を握って大海を漂いながら沈んでいくイメージです。
ゆっぴーさんのピアノも合わせて、3人とも世界観がオルタナティヴ・ロックでした。切ない恋をしている……!

東京だけで独立記事書く予定はなかったんですが、とりあえず吐き出さんと!という気持ちになったのでひとまず書いておきます。
大楽まであとちょっと、地方公演めいっぱい楽しみます。

2023.09.30. 16時

2021年配信感想