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HEPHALL ONLINE「他人のチョコを食べる男子高校生の話」を観たよ

【作中時間が飛ぶ難しさ】

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詳細発表されたときに「あれっ前回から一年経ってるの?」とびっくりしました。前回は二年生の終わりだったのに突然高校生活最後のバレンタインて。
高校の卒業式って一月下旬から二月上旬にやることが多いから、そのへんを鑑みて最後のバレンタイン=二年生の二月……?とも思ってみたけど終業式だったしやっぱり一年後だな、と。

というのも、「一年経っている」ことを念頭に観てみるとけっこう疑問符が飛んだんですよね。
丸山と岡本がちょっと距離があるのと、ナベとミヤが気まずそうなの、前回公演と同じ世界線ぽくていいやんと一瞬思ったけど、いやいや一年も経ってるのにこんな関係性ってあまりにも変化がなさすぎない?って奇妙なズレを感じたら最後まで気になってしまった。
ナベと岡本はなんで教室に来たんだろ?とか、生徒会副会長なのに三年生が自由登校なの知らないのなんで?とか、「7組ってミヤのクラスか!」って一年経ってるのに?とか……てかよく考えたら「次期生徒会長!」って、代替わりって二学期ごろなのでは……?これは学校によるか。「俺とミヤはクラス違うし」というよりは「みんな理系だけど俺は文系だし」なのでは?とか……。
あと時間経過関係なく、男子高校生っていつもこんな怒鳴り合ってるん……?リピートして観るの結構しんどかった。もともとがなり芝居苦手なのもあるけど、歳を重ねてから観るのめちゃしんどい。ので、しんどいのはわたしのせい。
あとで知ったんだけど、公演日の夜に演出さんの招待制SNSで演出についてお話があったようでめちゃくちゃ萎えちゃった。そういう話はオープンな場でしてほしい。

観ているわたしの体調や気分にももちろん拠るのですけど、三作とも「高校生の甘酸っぱさ」で押すには少ししんどかった。またこの展開か〜ってなっちゃった。たぶんこの作品だけ観たら「いい作品だな!楽しかった!」って思えたと思う。連作だから差を見つけたいところはあったな。
それから、こういう微妙な感情を表現するのにはやっぱりもっと演技力が必要かなと思った。みんな下手ではないんだけど、三作とも一緒なの。機微が見えないってやつ。前述した「関係に進展がなさすぎない?」というのはこれ。一作だけならなんとかなるんですよね。でも時が経過して、どのようにであれ関係は変わっているはずなのに変化が見えにくかった。特に丸山と横田……正直途中で飽きちゃって、最後まできちんと観るのけっこう大変だった。「変わらないことが美徳」の演出なのかも知れないけど、わたしが集中力がないので……今のわたしにはあまりにもnot for meだった。ほんと演劇って観るタイミング重要だな。

初演ではナベがミヤのこと好きそうだったのに今作はミヤのほうがナベのこと好きそうだな〜と思いました。このふたりは終盤のふたりきりのシーンがとても良かった。
幕開きで撫でていた机は高校生活を惜しんで撫でているんだろうけど、きっとミヤの高校生活ってナベとの毎日が煌めいていたんだろうなぁ。
「何もしない日がこの先もずーっと、永遠に終わんないんじゃないかって」というのは将来に対する漠然とした不安も勿論だけど、付かず離れずの関係性を保ちたいのかなぁとも感じた。変わらない関係なんてないんだけどね。高校生、青いなぁ。
でも最後にミヤを呼びに来るのはやっぱりナベ。ちょっと嬉しくなりました。

丸山の「卒業したらこんなどうでもいい話もできなくなるけどな」という最後の台詞が超絶リアリストだった。丸山はこのリアリストっぷりから変化がないように見えたのかな。そう思うとめちゃくちゃ難しいお役だな。
初演のナベとミヤはともかく、丸山と横田は大さんと福田さんの当て書きだと思ってるんですけど、前作からふたりとも本人のイメージそのままですね、これはいい意味で。ちょけたり、突然興味を無くしたり、な感じが「あ〜ぽいな〜」という、勝手なイメージなのですが笑。

とまぁ、つらつらめちゃくちゃネガティヴテンションで書いちゃったんですけど、三作とも楽しく観劇しました。楽しくなければ推しがいても最後まで観られないので!ほんとに!
この5人の物語は今作で区切りがつくかと思いますが、シリーズ終了のお知らせはないし別の高校生たちを描いたりするんでしょうか。差し当たってメモリアルフォトブック、楽しみです。

完全に余談ですが、卒業してから一年経った男子4人組のある夜を描いたオフブロードウェイの傑作、「GLORY DAYS」を思い出しました。12年前の公演だけど再演してほしいな(まじで余談!)

2021.02.14. 13時 / 16時

初演と続演。