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宝塚宙組「アナスタシア」東京千秋楽ライブビューイングを観たよ

宝塚歌劇、かくあるべし!愛と夢と希望の世界】

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ムラ公演以来の観劇でした。
初見のときにまず思ったのは「そう!こんな公演が観たかった!!」
ポスター公開されたときから「作画が種村有菜」とか言ってたけど、いや、もうさぁ……三次元であんな夢夢しくなるものなの……?
もうとにかく最初から最後までまかまどが美しい。可愛い。きれい。きらめいてる。ふたりを取り巻く人たちも美しい。
いや宝塚の公演って当たり前だけど容姿端麗な人ばかりなわけだが、それにも増してきらきらしてない……?
特にまどかは記憶の断片を取り戻すごとに美しくなっていったよね、素晴らしいな。
詐欺を企む顔のいい主演男役、記憶喪失の主演娘役。最初は距離のあったふたりが紆余曲折を経てハッピーエンド。
わたしは宝塚にこんな公演を求めていたんですよね。きらきらした夢の世界。幸せになるカップル。ふわふわと夢見心地で歩く花のみち。
輸入物とはいえ、宝塚歌劇のひとつの完成形を見たようなきもちになりました。
発表時に「宙組、また夏にロシアなんだ」と思っていましたが、千秋楽を無事に見届けた今、「神々の土地を経験した宙組だからこそ、アナスタシアを当てたのでは」とすら思えました。
特に神々から引き続きマリア皇太后を演じたすっしぃのあの説得力!
幕開きこそ「これがマリア皇太后?まぁ違う作品だし解釈も違うよな」と思っていましたが、アーニャの寝室でオルゴールを見て以降、違和感なく同一人物に帰結させたのは圧巻でした。
トップコンビ以外ではずんちゃんとソラカズキがとてもよかったなぁ。
ソラカズキの「夜の挨拶のいいところは、残りの人生が一日減ったっていうところよねぇ」という台詞がとても好きです。
二枚目のように見えて三枚目、三枚目に見えて二枚目なずんちゃんは、喋るたびにほっとする存在でした。ふっと力が抜けて優しいきもちになれる。そんな役どころだったと思います。

真風ディミトリの、詐欺師なのにどうしても悪になりきれなさとか、あんなにかっこいいのになぜか感じるヤンキー感とか笑、それでもまどかアーニャのことがだんだん大事になっていって、愛おしくなって、幸せになってほしい、という感情の流れがとても心地よかったです。
家族の夢を見て飛び起きたアーニャに「僕は君がアナスタシアだったらいいと思うよ」って言った優しさ……あれは宥めるためでもなんでもなく、「アーニャが家族と再会できれば」という心の底からの優しさだったんだろうなと感じた。結局嘘をつけない優しい人だったね。だからこそマリアもディミトリのことを赦したのだろうし、アーニャの背中を押したのだろう。
そしてそのアーニャを演じたまどか。とにかく素晴らしかった。記憶を失くし、か弱そうに見えても、覚えていない誰かとの約束のためにロシアの半分を歩き、パリを目指す強さ。
記憶を取り戻すたびにどんどんと輝いて見えていくのは息を呑んだ。冗談抜きに発光して見えるんだもの……あのヒロイン力は才能だと思います。
ムラで観たとき、あまりに「星風まどか」が完成されすぎていて、この子いつ辞めてもおかしくないのでは、と少し心配になった。ミュージックサロンが発表されたとき、あぁあやっぱりか、と納得しちゃったもんな。まさかの専科行きだったけど笑。
しかも今度は花組の主演娘役。真風相手とは違う魅力を、ゆずかれーちゃんと一緒に見せてほしいですね。楽しみです。

そうそう、東京千秋楽のLVではマリアのソロで家族写真がアップで抜かれていたから、最後のディミトリを含めた家族写真の演出が劇場で観たときよりも効いていた。あれは映像じゃなきゃできなかった。ムラでは「劇場で観られてよかった」と思ったけれど、「LVで観られてよかった」とも思えた稀有な公演でした。

2020.11.23. (大劇場)
2021.02.21. (ライブビューイング)