【新しい時代の幕開けはハッピーエンドで】
先行画像が出た時点で「いや大勝利でしょ」と思ってはいましたが間違いありませんでした。大勝利です。
原作映画はタイミングが合わず映画館で観ていなかったのでこのまま観ないでいるか悩んだのですが、「おかえりモネ」で坂口健太郎熱が上がっていたこともあり年末にアマプラで観ました。
「不器用ながら実直な青年」と「おてんばなお姫様」があまりにもれこうみにぴったり！キャラクターもそうですが、設定上手を繋ぐことすらラストシーンのみ、という距離感のラブストーリーを演じられるのもこのふたりの芝居心あってこそ。学年が近いのもいいほうに作用していると思います。
スクリーンを隔てた恋心が愛に育っていく様子、その葛藤、またそれぞれ自分の境遇に対する苦悩なんかがとにかく丁寧に表現されていてとても素晴らしかった。終盤、銀橋で指輪を渡すシーンでうみちゃんがぼろぼろに泣いていたのがとても印象的でした。
わたしが「おかえりモネ」や「最愛」が好きだったのはこういう描写が丁寧だったからなのですが、尺を取れる連ドラと違って1時間40分程度で表現したのはすごい。しかも、映画では基本的に健司と美雪だけに焦点を当てていればよかったけれど宝塚ではそうはいかない。
なにしろ80人ほどの生徒がいて、主要な生徒に焦点を当てないわけにはいかない。それでいて映画よりも時間は短い。「美雪の映画の中の世界」でのお付きやじいやばあや、隣国の王子を作っていいスパイスにしているのもよかったし、映画の中の神様を登場させて美雪がこちらの世界に来れた理由付けを一応ではあるがしていたり、それをうまく使ってこちらの世界もあちらの世界もハッピーエンドにしていたのは奈穂子先生の手腕だな〜。さすがです。
ロマンス劇場のオーナーも同じロマンスを経験していたのかなと思わせる構成は面白かった！そして美味しすぎる印象を残した俊藤のちなつ！くどすぎずうざすぎず、絶妙な塩梅でとんでもない爪痕を残してくれました。ちなつもいい役者になったねえ……しみじみ。ありちゃんの大蛇丸と揃っていい緩急になっていたと思います。
あとおだちんも芝居が芝居がうますぎて笑っちゃうくらいだった。エリザベートの役替わりエルマーのときに「芝居が上手い」と思ったのだけど、エルマーで芝居が上手いと認識できるって相当なのよ。とにかく自然な言い回し、どこかにいそうと思わせる立ち居振る舞い。これでまだ研8なのだから恐れ入る……今後がとても楽しみです。
ラストシーンの全員が揃ったシーンは、オープニングのモノクロと対比して色が溢れていてとても印象に残りました。そして健司のお衣装と美雪のドレスが黄色なのも月組カラーで憎い演出でしたね。ドレスの配色も可愛くて完璧だった……。
わたしはとにかく「お披露目はハッピーエンドにしてほしい」と常々思っているのですが、その点でも本当に大満足でした。全員がふたりを祝福しているところで幕、なのもお披露目公演っぽくてとても幸せ。いいお披露目公演でした。
そしてお芝居のほうが素晴らしすぎて、ショーもとても楽しかったのに感想が薄くなっちゃうのですが、こっちも本当に楽しかったの！！
プロローグの総踊り、後方センターでるうくんが踊っていたのは胸熱でした。88期ありがとう。
休憩中に緞帳が上がらなかったのでチョンパなのかな？と思っていたけど違ってちょっとしょんぼりだったのですが、その代わり？中詰めがチョンパ始まりだったのめちゃくちゃ興奮しました。チョンパ大好き。
あと「ジャズ・オマージュ」の中詰めにシナトラの「My Way」を歌わせるのはアツいです。「My Way」聴くと反射的に涙が出てくる身体なのでめちゃくちゃ泣いた。サヨナラに歌っても泣けるけど、お披露目で歌われても泣けますね……。
男役群舞も娘役群舞もかっこよかったけど、唯一にして最大の不満なのがデュエダンが無かったことですね……舞台上にふたりだけ（いてもソロの歌い手）でいてれこうみふたりだけの世界を作ってほしかったな。ギャツピーのフィナーレに期待。
パレードでシャンシャンのリボンの先を「FULL SWING！」の歌詞に合わせてぐるぐる回すの可愛かったな〜！ロケットでも猫ちゃんたちがしっぽぐるぐるしていたの可愛かった！
あとうみちゃんのお衣装可愛すぎだし似合いすぎなのにほんの数分しか見られないのが残念でならない……。デュエダンに対する未練はあるものの本当に楽しいショーで、年始にぴったりの素晴らしい公演でした！
初めて宝塚観る人にもぴったりだな、とは思うものの、そういう公演こそチケットがないという……。
2022.01.04.（劇場観劇初め！）
