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舞台「奇跡の人」を観たよ

【まず覚えなければいけないのは、物には名前があるってことなんです】

「奇跡の人」といえば「ガラスの仮面」の知識しかなく、今までの公演も観に行けていなかった。
ガラスの仮面を読んだ小学校低学年のころにヘレン・ケラーの子ども向け伝記まんがは読んだかな。 特集番組を見た記憶もある(おかげで DOLLの指文字だけははっきり覚えていた)
始まってまず驚いたのはサリヴァンがずいぶん感情表現が豊かな人ということ。
姫川歌子の冷静沈着・堅物なサリヴァンのイメージしかなかったので……。あとガラスの仮面ではヘレンとサリヴァンのシーンが主に描かれていたので、ケラー家に行く前のサリヴァンについても結構しっかり描くんだな~と思った。
そして次いで驚いたのが、ヘレンとサリヴァンの出会いのシーン、「これガラスの仮面で見たやつや!!」ってなりました。どない?笑
いやほんと、ガラスの仮面で描かれたままでびっくりしたんですよ……階段に座っているヘレンの隣に思い切りトランクを置く→驚いたヘレンがトランクを触る→そのトランクを持って家の中入っていくという流れ。
戯曲は読んでいないんですけど、「きっとト書きに書いてあって、 美内先生はめちゃくちゃ忠実に描いてらっしゃるんだな」と今さらながらガラスの仮面ってすごいなとつくづく感じてしまった。話が逸れた。

ヘレン役の平祐奈ちゃん、失礼ながら平愛梨ちゃんの妹、というイメージしかなくて今まで映像で見たこともなかったのですが、「あぁ見えていないんだな」と感じる芝居をしっかりしていてとてもよかったです。
最近、ドラマ「恋です!」や、ミュージカル「笑う男」で目が見えない登場人物が出てくる作品を続けて観たけれど、みんなあんなに 「見えない」芝居ができるの本当にすごい。 知覚の七割と言われている視覚なだけに、どれだけ芝居しても本能や反射があるだろうに……。
サリヴァン役の高畑充希ちゃん。彼女の芝居が観たいのが七割でチケットを取ったのですけど期待以上のものを観せていただきました。序盤の救貧院から旅立つ日、先生から指輪をもらって涙ぐみ、残していく子どもたちと優しく接するサリヴァン。新しい環境に色めきたつサリヴァン、ヘレンと顔を合わせて気合いを入れるサリヴァン、ケラー夫妻へ過去を告白し、ヘレンを教育することに必死になるサリヴァン、弟を思い出すサリヴァン……。アン・サリヴァンという人が背負っているものを、すべて丁寧に表現していると感じました。
たくさん見どころのある演目だけど、テーブルファイトの迫力ったら!マチソワするの?これを??というくらいに激闘だった。八百屋舞台でただでさえ大変なのに……すげぇ……。
離れでふたりで暮らすシーンも素晴らしかった。ふたりの信頼関係が築かれていく過程が見えて胸がキュッとした。寝てるヘレンに話しかけるサリヴァンの切ない声の響きが大好きでした。
お席が下手側最前列で、ポンプの目の前だったので奇跡のシーンは迫力があったとかいうレベルじゃなく、むしろちょっと濡れたw
ヘレンが受けた衝撃をこの身で感じられて嬉しかった~ヘレンが世界を知ったと同時にふたりが繋がった瞬間だと感じたな。

観劇した回がちょうど充希ちゃんのヘレンとサリヴァン合わせて100回記念だったそう。ご自身ではわかっていなくて、カテコで花束が出てきて驚いた顔が可愛かったし、偶然ご両親もいらしていたそう!そんな記念の公演を観劇できて幸せでした。
「小学生のときに観て、これに出たいと思って仕事を始めた」と仰っていた。そんな演目への出演を続けられるのはすごいことだなぁ。ヘレンを観られなかったのが悔しいな。


2022.06.11. 12時30分